不動産購入後、住宅ローンの返済が困難になってしまったときに、債務者がとれる選択肢として「任意売却」があります。
任意売却とは、金融機関の合意を得て、不動産を売却することです。
債務者にとっては有利な手段といえますが、ケースによっては「任意売却ができない」場合もあるので注意が必要です。
不動産の任意売却ができないケースとはどんな場合?
市場価格に近い価格での不動産売却が可能なことなど、いくつかのメリットがある「任意売却」は、返済が難しい場合に所有者が検討できる選択肢です。
しかし、任意売却ができない場合がいくつかあり、そのひとつが「時間切れ」です。
任意売却ができるのは、競売の入札の「開札日の2日前」までです。
これを過ぎると選択できないので、早めに検討することが大切です。
また、たとえ家族が希望しても、「所有者本人でなければできない」ケースとなります。
さらに、連帯保証人がいる場合には連帯保証人の同意が、共有名義の場合には名義人の同意が必要です。
そして、金融機関からの合意を得ることが前提となるため、「債権者の承諾が得られない」場合も、進めることができないケースとなります。
万が一の事態も考え、不動産購入時に、承諾してくれる金融機関を探して検討することもポイントとなるでしょう。
不動産の任意売却ができないまま滞納が続くとどうなる?
住宅ローンの滞納が長引いても、任意売却ができなかった場合、どうなるのでしょうか。
結論的には「競売」にかけられることとなります。
まず、金融機関は抵当権を行使し、裁判所へ強制執行を申し立て、担保である不動産は競売の段階へと入っていきます。
競売で不動産を手放す場合には、裁判所によって流れを進められ、売却が決定すると不動産の抵当権抹消登記もおこなわれます。
ほかにも、競売による影響はどうなるのでしょうか。
通常の売却と同じ方法をとる任意売却と違い、競売は周囲に知られる可能性があります。
所有者の名前は出ないものの、競売物件として不動産の情報や室内の写真がインターネットで公開されます。
また、落札時に安くなる傾向があり、市場価格の7割から8割程度となることも多いです。
そのため、競売しても残債を完済することが難しい場合には、自己破産による債務整理に進み、返済義務を消滅させるケースもあります。
まとめ
不動産の任意売却ができないケースについて解説しました。
住宅ローンの返済が困難になった場合、なんとか状況を打開したいと考えますが、任意売却ができる期限もあることをふまえ、早めに金融機関に相談をすることも大切です。
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